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かぜのお話 総合感冒薬と漢方のかぜ薬

かぜは「かぜ症候群」という主にウイルスによる上気道感染症です。クリニックで診察した場合は、インフルエンザとCOVID-19が否定されて、抗菌剤が必要な細菌感染による上気道炎が否定されたら「かぜ」と診断することになります。かぜと診断されたらお薬が必要なのか、考えてみます。

今日では多くの疾患に専門の学会などが出す「ガイドライン」があります。過去の症例の積み重ねとその解析により確率した治療法が記載されています。ところが私が調べる範囲において、これだけ多い疾患にも関わらず「かぜ」に関しては多くの専門家により検討された「ガイドライン」はありません。

その理由は、おそらくかぜは数日で自然に治るものだからというのが理由の一つと思われます。ところがクリニックに来られる患者さんは、かぜと診断されてもお薬を希望される方がほとんどですし、クリニックに行かずにドラッグストアで市販の「かぜ薬」を買って飲まれる方も多いと思います。

毛布にくるまり鼻をかむ女性

合感冒薬とは

病院でも最もよく処方される総合感冒薬はブレンドされたお薬で、代表的なかぜ薬は、熱を下げてのどの痛みを和らげる目的の消炎鎮痛剤と、鼻水を止める効果を期待して抗ヒスタミン薬がブレンドされています。

この抗ヒスタミン薬は現代の花粉症で使う抗ヒスタミンと比べて眠気が強くでる(眠気が出ないタイプの抗ヒスタミン薬よりは鼻水への効果が強い)ので、それを和らげるためか、カフェインが入っています。

市販の総合感冒薬に関しては「あなたのかぜは」と、症状によって同じ製薬会社がいろいろなクスリを販売しています。症状によって配合を変えて、例えば咳止めの成分を追加しています。

つまりいずれも症状を和らげることを期待する「対症療法」であり、ウイルスを退治するクスリでは無いと思ってください。

虫眼鏡でウイルスを観察するイメージ写真

かぜの原因ウイルスがわからないことも多い

「たんなるかぜ」と言われることもあるように、かぜは日常ありふれた病気のように思われます。

しかし呼吸器内科の診療では、COVID-19やインフルエンザの抗原検査が陰性で、肺炎や副鼻腔炎、扁桃炎などの抗菌剤投与が要る細菌感染症の可能性を除外してようやく「『かぜ』かな?」ということになります。

そもそも『かぜ』には原因のウイルスがわからないことが多く、抗ウイルス薬もありません。他の呼吸器感染症のような学会などが作成する「治療指針:ガイドライン」もありません。

数日間で自然に(自力で)治ることが多いのですが、熱、痛み、咳などの痛みでお困りのことがあれば、症状を和らげることを期待する「対症療法」を行うことが多いです。

市販も含めて病院でも処方することがある総合感冒薬(かぜ薬)にはかぜの諸症状を和らげるための消炎鎮痛剤、抗アレルギー剤、カフェインなど複数の成分がブレンドされています。

一方で眠気が強い成分や、前立腺肥大がある方は尿が出にくくなる成分など副作用も気になるものが含まれています。

また、かぜによる症状は感染に対して体が闘うための「反応」でもあり、例えば発熱はウイルスによって体温が上がるのではなく、高温では増殖しにくいウイルスを退治するための身体の免疫反応と考えられています。

院のかぜ診療の方針について

発熱はつらく長く続くと体力が消耗してしまいますが、やみくもに熱を下げるとウイルスを退治する効果は低下するのではとする考え方もあります。

この様にかぜをひいてすぐに解熱剤を使用するのは否定的な意見も多くなっています。

当院の「かぜ診療」は総合感冒薬の『対症療法』だけではなく、保険で処方できる漢方薬による治療も積極的に行います。かぜに対する漢方治療では「葛根湯」が有名になりましたが、それ以外にも症状や症状が出てからの時間や患者さんの体格・体力、年齢などでいろいろな薬を使い分けます。

漢方治療も直接ウイルスをやっつける治療ではありませんが、症状を和らげると共に患者さんがお持ちの治る力や免疫力を引き出すような効果を期待して投与させていただいています。