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クリニックで細菌感染症を迅速に診断する方法があるか?
では細菌感染症をインフルエンザやCOVID-19のように、迅速に調べる方法があるでしょうか?
細菌は感染症のヒトから採取した痰などの「検体」を培地で「培養」させ、菌が発育したら顕微鏡で確認します。しかし、これは菌が増殖するために時間が必要なので、少なくとも数日間以上かかります。
例えば肺炎を起こす細菌では、肺炎球菌やレジオネラ菌は尿検査で抗原を迅速に調べることが出来ます。また若い方で感染することもあるマイコプラズマ肺炎では、咽頭をこすって行う抗原検査ができますが、感染している人が検査で陽性になる「陽性率」が低く、「感染しているのに抗原検査が陰性」の場合も少なくありません。

そこで、ウイルス感染症か細菌感染症を見分ける手助けになるのが血液検査です。呼吸器感染症にかかると、血液中の白血球の数やCRP (C反応性蛋白)という蛋白の量が変動します。白血球にはいくつか種類があり、その一つの「好中球(顆粒球)」は細菌感染が起きると細菌と戦うために増加します。そのため細菌感染症の早期から好中球の増加により白血球の数が増えます。
またCRPも白血球の増加より少し遅れて増加します。従って白血球は増加しているが、CRPは増加してなければ細菌感染の初期、白血球もCRPも増加していれば、細菌感染から少し時間が経過していると推察できます。
一方でウイルス感染の場合は、白血球の「リンパ球」が増えますが「好中球」は増加しません。全体の白血球の増加も細菌感染症と比べると軽度で、またCRPもあまり増加しません。
このように同じように「発熱・鼻汁・のどの痛み」の患者さんでも、血液検査を行うと白血球とCRPの結果でウイルス感染症か細菌感染症かを見分けられる可能性があり、治療法、つまり抗菌剤が必要かの判断にとても役立ちます。
当院は院内で白血球数とCRPの検査が行えて、通常は採血をして30分以内に結果が判明します。また白血球の数だけで無く、好中球、リンパ球、また喘息に関係する好酸球などの白血球の種類・分類も調べることができます。