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タバコ病は「不平等」?吸えば吸うほど悪化するCOPD、吸えば確率が上がる肺がん
日本ではCOPDの患者さんの9割以上は喫煙者ですが、タバコを吸う人全員がかかる病気ではありません。
同じようにたくさん吸っても約2割の人だけがかかるため、遺伝的、あるいはタバコと肺の細胞の「相性」に遺伝子的なことが関係していると考えられています。
つまりCOPDはタバコをたくさん吸ってもならない人がいる病気と言えますが、症状が出るまでに密かに進行していく病気なので、ご自身がCOPDになる人かならない人か判断することは困難です。たくさんタバコを吸う人は、症状が無くても定期的に肺ドックを受けておくことをお勧めします。

タバコは肺がんの原因にもなりますが、鼻・口からのどを通って肺までの気道:エアウェイ(airway)のがんはいずれもタバコとの因果関係が明らかになっています。具体的には鼻腔・副鼻腔がん、口腔・咽頭がん、喉頭がんなどです。
タバコを吸わなくても肺がんになる人がいるのはたしかですが、「がん」という病気は元の肺の細胞が突然変異や発がん物質の影響で細胞が「がん化」して起きるものなので、タバコを吸う人は吸わない人よりも肺の細胞が「がん化」する確率が高くなるのが明確になっているわけです。
またいろいろある肺がんのタイプの中で、特に悪性度の高い「小細胞肺がん」については、ほぼ喫煙者にしか発生しないと考えられており、単純に吸わない人の肺がんとの数の比較だけでは影響を評価しきれません。
またタバコを吸わない人の肺がんの中には、受動喫煙による発がんも含まれていることから、タバコによる「がん化」は吸う人だけの問題ではすまない問題です。ヘビースモーカーでも幸い肺がんができずに長生きされている方もおられますし、がんの治療は年々進歩しているものの、やはり明らかながんの原因になるものは避けた方が良いと思いますね。